つまずき1:働く準備が整う前に、採用してしまう
一つ目は、採用のミスマッチです。たとえばハローワークを通じて応募された方の中には、働く準備(就労準備性)がまだ整っていない方もいます。まず就労継続支援や就労移行支援で訓練を積んでからでないと、一般の会社で働くのが難しい段階にいる方ですね。
精神障害のある方の中には、自分のことを客観的につかむのが難しい方もいます。ご本人は「もう働ける」「働く力はもう備わっている」と思っていても、周りから見ると、もう少しこういう部分が強くならないと難しい、というラインの方もいるんです。それを面接だけで見抜くのは、なかなか難しい。
働く準備が整っていないと、会社がすごく配慮して、働きやすい環境をつくっても、定着しないということが起きてしまいます。
防ぎ方:人を知ったうえで採用する
NEXTぷれいすでは、面接に同行して、働く準備が整っているかを一緒に確かめます。ぷれいすGROUPの就労継続支援B型で、企業の実際の仕事をしながら準備を整えた方が、企業との面接を経て雇用された例もあります(事例を見る)。
つまずき2:しんどさが言葉にならず、周りが気づけない
二つ目は、特性が理解されていないことです。自分のことは分かっていても、自分がどうしんどいのかを、言葉にしてうまく伝えられない方もいます。言葉にならないので周りの人も気づけず、その方に合う環境を用意できない。これはよくあるパターンです。
防ぎ方:調子を「伝える力」と「受け止める職場」をつくる
ぷれいすGROUPでは、自分の調子に気づく力と、それを人に伝える力を、コミュニケーションの練習で磨いてきました。経理として働く男性は、その日の調子を上司に伝え、受け止めてもらう経験を重ねて、ほとんど休まず働けるようになりました(安定して通えるようになるまで)。
サテライトオフィスでは、支援員が面談とモニタリングでご本人の様子を確かめ、言葉になりにくいしんどさも拾って、御社にお伝えします。
つまずき3:理解のある一つの部署だけに任せてしまう
三つ目は、特定の部署だけに押しつけてしまっている状態です。理解があるのはその部署だけで、会社全体としては、ダイバーシティや障害者雇用、インクルーシブといった考え方をまったく知らない。
会社全体に障害者雇用の理解があるから、その方にとって居心地のいい職場になるわけです。一人だけの理解では社風が変わらず、なじめないこともあると思います。ほかの部署の協力が得られない、という形ですね。
防ぎ方:会社全体の理解をつくる
NEXTぷれいすでは、受け入れる部署だけでなく、一緒に働く社員の方に向けた社内研修も行います。一つの部署の頑張りに頼らない、会社全体の受け止め方をつくります。
知っておきたい、精神障害のある方の数え方
精神障害のある方は、法定雇用率の計算で次のように数えます。短い時間から働き始めて、少しずつ時間を延ばす働き方もしやすくなっています。
| 週の労働時間 | 数え方 |
|---|---|
| 30時間以上 | 1人 |
| 20時間以上30時間未満 | 1人(特例。2023年4月から当分の間) |
| 10時間以上20時間未満 | 0.5人(2024年4月から) |
まとめ
精神障害のある方の雇用でつまずくのは、配慮が足りないからとは限りません。採用の段階で人を知ること、しんどさが伝わる仕組みをつくること、会社全体で受け止めること。この3つがそろうと、定着は大きく変わります。
