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障がい者雇用の
業務切り出しのやり方

「何をしてもらえばいいか分からない」「隙間の仕事だと、やることがない時間ができそうで怖い」。障がい者雇用のご相談で、よく伺うのがこの2つです。業務の切り出しで止まらないための進め方と、実際に切り出した仕事の例をまとめました。

話し手:代表・公認心理師 磯 隼斗(ぷれいすGROUP)

この記事で分かること

業務の切り出しとは

障がい者雇用の業務の切り出しとは、会社の中にある仕事の中から、障がいのある社員が担当できる仕事を選び、手順・量・できあがりの基準を決めて、一つの「担当業務」として組み立てることです。

やり方は大きく2つあります。

やり方中身向いている会社
今ある仕事から切り出す部署の仕事を工程に分け、その一部(入力・チェック・整理・発送など)を担当してもらう事務の量が多い会社、部署が細かく分かれている会社
新しく仕事をつくる人が足りず、今までできていなかった仕事(求人の更新、SNS、記事や動画の下書き、営業の準備など)を担当してもらう中小企業、業務が一人に集まっている会社、伸びている会社

中小企業では、経理や給与計算のように「一部だけ切り出すのが難しく、任せるなら全部」になってしまう仕事も多くあります。その場合は、無理に今ある仕事を細かく分けるより、「新しく仕事をつくる」ほうが進みやすいことがあります。

業務の切り出しが止まる3つの理由

NEXTぷれいすにご相談いただく会社のお話を聞いていると、止まるところはだいたい同じです。

1. 「どの部署から」「何ができそうか」が決まらない

稟議や社内の話し合いで止まるのは、そもそもどこの部署から切り出せばいいのか、何ができそうか、というところが多いです。だから、まずは困っている業務、困っている事業部はどこなのか。障がい者雇用でできるかできないかはひとまず置いておいて、それを出していただく。実際にどうやったらできるかは、私たちも一緒に考えます。その中で、新しい雇用の切り口が見つかることが多いんです。(代表 磯隼斗)

2. 隙間の仕事だけで考えて、「やることがない時間」が怖くなる

隙間の仕事をその都度お願いする形だと、やってもらうことがない時間ができそう、というご心配をよく聞きます。隙間の仕事だけで組み立てると、実際にそうなりがちです。対策は、このあとの「ずっとある仕事」と「ためておく仕事」で説明します。

3. 不足が少ないので、社内で後回しになる

「足りないのは1人だけ」という会社ほど、ほかの仕事に押されて後回しになります。そして、6月1日の基準日や納付金の申告の時期が近づいてから、慌てて採用を進めることになります。業務の切り出しはいちばん時間がかかる工程で、私たちの経験では1〜2か月かかることが多いので、早めに始めるのがおすすめです(年間スケジュール)。

業務切り出しの7つの手順

  1. 困っている部署・手が回っていない仕事を出す「障がい者雇用でできるか」は考えずに、人が足りない部署、時間がなくてできていない仕事、外に頼もうか迷っている仕事を書き出します。1つの部署に絞ると、社内の調整が進みやすくなります。
  2. その部署の毎日の仕事を見る机の上で考えるより、実際の仕事の流れを見るほうが、切り出せる部分が見つかります。NEXTぷれいすでは、担当者が御社の部署に伺って、毎日の仕事を見せていただきます。
  3. 仕事を「工程」に分けて書き出す一つの仕事を、受け取る・調べる・入力する・確かめる・送る、のように工程に分けます。業務切り出しシートを使うと、部署ごとに書き出せます。
  4. 任せる工程を選ぶ次の3つにあてはまる工程から選びます。①毎日・毎週あって量が安定している ②手順やルールにできる(判断が必要な部分はAIや見本で助けられる)③やった結果が会社に残る(売上・採用・時間の削減につながる)。
  5. 1日・1週間の仕事の量を組み立てる決まった仕事だけで1日が埋まらないときは、手が空いたときに進める「ためておく仕事」を足します。週に何時間働いてもらうかも、ここで決めます(勤務時間と給与の決め方)。
  6. 指示の出し方と、納品の形を決める手順書(できれば画面の写真つき)、できあがりの見本、締め切り、質問のしかた、進み具合の報告のしかたを決めます。離れた場所で働く場合は、連絡の道具とタスクの表も決めます(指示の出し方)。
  7. 小さく始めて、広げる最初は少ない仕事から始めます。はじめのうちは、締め切りにゆとりがあり、休んだ日があってもほかの人の仕事が止まらない仕事を中心にすると安心です。慣れてくると、できる仕事の幅は広がっていくことが多いです。空いた時間ができたら、それは新しい仕事を覚えてもらう時間です。

やっていく中で、必ず習熟していきますし、職域も広がっていきます。始めは小さく。時間が空いたら、新しいスキルを身につけるために時間をかけて教えていく。社内に教える時間がないということであれば、それは私たちのほうで引き受けることができます。(代表 磯隼斗)

「ずっとある仕事」と「ためておく仕事」を組み合わせる

やることがない時間をつくらないために、仕事を2種類に分けて用意します。

種類中身例
ずっとある仕事毎日・毎週、決まった量が必ずある仕事。1日の予定の土台になります経費のチェックと入力、求人の更新、問い合わせの一次対応、書類のスキャンと保存
ためておく仕事締め切りはゆるいけれど、進めるほど会社のためになる仕事。手が空いたら進めます会社のSNSの投稿づくり、ホームページの記事や動画の下書き、名刺や顧客情報の整理、営業先のリストづくり、マニュアルの見直し

続けることで会社のためになる仕事をいくつか用意しておく、というのが一つのやり方です。会社のホームページの検索対策、動画のコンテンツづくり、Facebook や LinkedIn、Instagram などSNSの更新を、会社の方針に沿って進めていく。(代表 磯隼斗)

こうした仕事は、続けるほど会社に積み重なっていきます。

タスクの表で、進み具合をいつでも見えるようにする

仕事を振る側が忙しいと、「次に何をしてもらうか」を考える時間が取れません。そこで、Googleスプレッドシートのように、会社とご本人が同時に見られるタスクの表をつくります。

タスク種類締め切り進み具合質問・メモ
求人3件の更新(応募の少ない順)ずっとある毎週月曜済—
10月の交通費の入力とチェックずっとある11/5半分領収書が2枚読めない
Instagram の投稿の下書き(5本)ためておく11月中2本写真はどれを使うか確認したい

※表は書き方の例です。

何が、いつまでに、どこまで進んでいるかがその場で分かれば、仕事を振る側は空いたところに次のタスクを足すだけで済みます。ご本人も、次に何をすればいいか迷いません。

部署ごとの、仕事の見つけ方

どの部署にも、「本当はやったほうがいいのに、手が回っていない仕事」があります。見つけるときは、次のような問いかけから始めます。

部署見つけるときの問いかけ
人事・採用求人を出しっぱなしにしていないか。応募への返事が遅れていないか
総務紙の書類が机にたまっていないか
経理締め日の前に、入力やチェックが集中していないか
営業名刺や見込み客の情報が、整理されないまま眠っていないか
広報・マーケティングSNSやホームページの更新が止まっていないか
システム・IT手作業でつないでいる仕事はないか

ただ、どの仕事を任せると会社が強くなるかは、会社ごとにまったく違います。一般的な仕事の例を並べるだけでは、その会社に合う仕事は見つかりません。NEXTぷれいすは、御社の部署に伺って実際の仕事を見せていただき、その会社ならではの仕事を一緒に見つけます。任せる仕事が決まるまで、打ち合わせを重ねて進めます。業種ごとの入口になる部門は業種別の業務図鑑にまとめています。

切り出した仕事は「業務の説明書」にする

任せる仕事が決まったら、1枚の説明書にまとめます。これがそのまま求人票の仕事内容になり、教えるときの手順書にもなります。

切り出した仕事・ご提案している仕事の例

NEXTぷれいすが会社と一緒に切り出した仕事やご提案している仕事と、ぷれいすGROUPの社内で障がいのある社員が担当している仕事の例です(会社名は出していません)。

部署・場面任せた仕事ポイント
採用(人材派遣の会社)求人サイトに載せている求人の更新(応募の数を見ながら見直す)会社からの反応がいちばん大きい領域。応募が増えるように、更新を続ける「ずっとある仕事」
経理現金やクレジットカードで払った経費の振り分けのチェックと入力現金・カードの経費のように、ルールで振り分けられる部分から任せる
営業展示会で名刺を交換した会社の情報の整理と、リストづくり営業担当が後回しにしがちな仕事。整理されると次の営業につながる
営業(ぷれいすGROUP自社)1社ずつ内容を合わせた、手書きのDMAIにはできない「人が手がけたこと」が価値になる。ほかの会社でもできる仕事
労務・総務(本部)労務の手作業をつなぐ仕組みづくりはじめは単純作業の予定だった方が、得意を生かして社内のシステム開発の担当に(事例)
不動産契約書のひな型への物件情報などの入力どう切り出し、どう納めるかを、日々の仕事の流れの中で一緒に考えている(進行中)
ぷれいすGROUP(自社)経理の入力の仕事から始め、いまはほかの部署の仕事も担当慣れるにつれて、任せる仕事が広がった

業種ごとの例は業種別の業務図鑑に、人材派遣の会社の例は人材派遣会社の障がい者雇用にまとめています。

単純作業だけを集めると、続かない

データの入力や転記のような単純な作業は、AIやシステムに置き換わりつつあります。単純作業だけを集めて切り出すと、数年後には仕事そのものがなくなるおそれがあります。ご本人にとっても、成長が見えない仕事は続けにくいものです。

判断が必要でこれまで任せにくかった仕事も、AIへの指示文や見本を用意すれば、手順のある仕事に変えられます。くわしくは「AIの時代に、障がい者雇用で任せる仕事をつくる」でお話ししています。

どこで働いてもらうか

切り出した仕事をどこでしてもらうかも、あわせて考えます。

大阪の会社の場合

NEXTぷれいすの業務切り出しの支援については業務の切り出しのページをご覧ください。

いちばん困っている部署を教えてください。任せられる仕事を、御社の部署に伺って一緒に見つけます。

30分の面談を予約する 業務切り出しシートを使う

お電話(06-6676-7072・平日9時〜18時)でも受け付けています。

更新日:2026年10月28日

よくある質問

障がい者雇用で任せる仕事が社内にありません。どうすればいいですか?

「障がい者雇用でできるかどうか」はいったん置いて、いちばん困っている部署と、手が回っていない仕事を書き出してください。そこから、手順にできる部分・毎日や毎週ある部分を選ぶと、任せられる仕事が見つかることが多いです。今までできていなかった「会社にずっとプラスになる仕事」を新しくつくるやり方もあります。

隙間の仕事だけだと、やることがない時間ができませんか?

隙間の仕事だけで組み立てると、そうなりがちです。毎日・毎週ある決まった仕事に加えて、手が空いたときに進められる「ためておく仕事」(求人の更新、SNSや記事の下書き、名刺やデータの整理など)を用意し、誰でも見られるタスクの表で進み具合を管理すると、仕事がなくなる時間を防げます。

どの部署から切り出せばいいですか?

いちばん困っている部署、人が足りない部署、時間がなくてできていない仕事がある部署から始めるのがおすすめです。稟議や社内の調整で止まりやすいのも「どの部署から」の部分なので、まず1つの部署に絞って小さく始めると進みやすくなります。

週に何時間ぶんの仕事が必要ですか?

法定雇用率では、週30時間以上で1人、週20時間以上30時間未満で0.5人と数えます(精神障がいのある方は、当分の間、週20時間以上30時間未満でも1人)。たとえば週20時間なら、1日4時間×5日ぶんの仕事が目安です。始めは短い時間で、慣れてきたら仕事と時間を増やしていく形が多いです。

個人情報を扱う仕事は任せられますか?

体制が整えば任せられますが、不安がある場合は、個人情報を扱わない仕事から始めるのがおすすめです。営業や広報の仕事で成果が出てから、ほかの部署に広げた会社もあります。

切り出した仕事を教える時間が、社内にありません。

NEXTぷれいすのサテライトオフィスでは、支援員がそばにいて、手順書づくりや新しい仕事を覚えるところをお手伝いします。社内で教える時間が取れない部分を、私たちが引き受けることもできます。

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