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障がい者雇用の勤務時間と給与の決め方

「週何時間にすればいい?」「給与はいくらにすればいい?」。障がい者雇用の求人をつくるとき、多くの会社がここで迷います。法律で決まっていることと、定着につながる決め方を分けてお伝えします。

話し手:代表・公認心理師 磯 隼斗(ぷれいすGROUP)

この記事で分かること

勤務時間で変わること

法定雇用率の数え方

障がいのある社員を法定雇用率で何人と数えるかは、週の所定労働時間(契約で決めた時間)と障がいの種類・程度で決まります。

週30時間以上週20〜30時間週10〜20時間
身体・知的1人0.5人数えない
重度の身体・重度の知的2人1人0.5人
精神(手帳をお持ちの方)1人1人(当分の間の特例)0.5人

「週20〜30時間」は20時間以上30時間未満、「週10〜20時間」は10時間以上20時間未満。出典:厚生労働省「障害者雇用率制度」の資料。週10〜20時間の0.5人は2024年4月から。

精神障がいのある方は、週20時間以上30時間未満でも1人と数える特例があります(2023年4月から、当分の間)。そのため、まず週20時間台で始めて、慣れてから時間を延ばすという決め方が、雇用率の面でも、ご本人の負担の面でも取りやすくなっています。

雇用保険・社会保険

何時間から始めるか

採用したあと、いちばん多い困りごとは「出勤が安定しないこと」です。最初から長い時間で始めて体調を崩すより、続けられる時間から始めるほうが、結果として早く戦力になります。

始め方週の時間の例向いている場合
短い時間から週20〜25時間(1日4〜5時間×5日)しばらく働いていなかった方、体調の波がある方、新しい仕事を覚える最初の数か月
フルタイムで週30時間以上前の職場でフルタイムで働いていた方、出勤が安定している方

※時間は例です。ご本人の状況と、切り出した仕事の量で決めます。

給与を決めるときに、法律で決まっていること

最低賃金は、障がいのある方にも適用される

最低賃金は、障がいのある方にも原則として同じように適用されます。大阪府の最低賃金は、2026年10月1日から時間額1,231円です(それまでは1,177円)。業種によっては特定(産業別)最低賃金も決められています。両方がかかるときは、高いほうの額以上を払います(2026年10月時点では、大阪の特定最低賃金はいずれも1,231円より低い額です)。

最低賃金の減額の特例は、限られた場合だけ

精神または身体の障がいにより、仕事をする能力が著しく低い場合に、都道府県労働局長の許可を受けて、最低賃金より低い額にできる「最低賃金の減額の特例」という制度があります。ただし、障がいがあるだけでは許可されません。障がいがその仕事に直接、著しく影響していることがはっきりしている場合に限られ、申請は労働基準監督署を通して行います。

障がいを理由に、不当に差をつけてはいけない

障害者雇用促進法では、賃金の決め方、教育訓練、福利厚生などについて、障がいがあることを理由に、障がいのない方と不当に差をつけることを禁じています(第35条、2016年4月から)。仕事の中身や責任、勤務時間が違えば給与が違うことはありますが、「障がい者雇用の枠だから」という理由だけで低くすることはできません。

実際の給与の決め方

本当に企業さんによってさまざま、という答えになってしまいますが、基本的には最低賃金からスタートして、正社員と同じように働けるようになったら、正社員と同じくらいの金額まで。かなり幅は広いです。ただ、働く側としては、アルバイトでも次のステップ、また次のステップと、せめて次のステップまでが目標としてはっきり分かると、やる気も続くし、定着もしやすいと思います。(代表 磯隼斗)

給与の金額そのものよりも、「何ができるようになったら、どう変わるのか」が見えていることが、定着には大きく効きます。

定着につながる「ステップ」の決め方

勤務時間・仕事の幅・働く場所・給与を、段階に分けて決めておく方法です。下は考え方の例です。

段階勤務時間仕事働く場所給与・雇用形態
1. 慣れる週20時間台決まった手順の仕事(ずっとある仕事)サテライトオフィスなど、支援のある場所時給(最低賃金から)・有期の契約
2. 広げる週30時間へ判断の入る仕事、ためておく仕事も同じ時給を上げる
3. 任される週30時間以上一つの業務の担当、後輩への引きつぎ本社・在宅との組み合わせも契約の見直し、月給への切りかえ
4. 一緒に働く会社の決まりどおり部署の一員として本社など正社員への登用も

※段階の分け方・時間・給与は、会社の決まりと仕事に合わせて決めます。

次の段階に進む目安は、出勤が安定していること、仕事の流れが分かっていること、会社がご本人の得意・苦手を分かっていることの3つです。NEXTぷれいすでは、サテライトオフィスで働く方が本社勤務に移るときも、この3つを目安にしています(サテライトから在宅・本社勤務へ)。

有期の契約が更新されて通算5年を超えると、ご本人の申し込みで期間の定めのない契約に変わります(労働契約法の無期転換のルール)。ステップを決めるときは、この点も合わせて考えておくと安心です。

給与を決める5つの手順

  1. 仕事の中身と責任を決めるどの仕事を、どこまで任せるか。業務の切り出しで決めた内容がもとになります。
  2. 社内の同じような仕事と比べる同じような仕事をしているパート・契約社員の給与と比べ、障がいがあることだけを理由に低くしていないかを確かめます。
  3. 最低賃金を確かめる事業所のある都道府県の最低賃金(大阪府は時間額1,231円)を下回っていないか。業種の特定最低賃金も確かめます。
  4. ステップを決める勤務時間・仕事の幅が広がったら、どう見直すかを決めます。
  5. 求人票と契約書に書く始めの条件と、見直しの考え方を書いておきます。

よくある間違い

間違いどうするか
週20時間より短くして、法定雇用率に数えられなかった身体・知的障がい(重度でない方)は、週20時間未満だと数えません。数え方の表で確かめてから時間を決めます。
「障がい者枠だから」と、同じ仕事の人より低い時給にした障がいを理由に不当に差をつけることは禁じられています。差をつけるなら、仕事の中身・責任・時間の違いで説明できるようにします。
通院や体調のことを考えずに、勤務時間を決めた通院の日に休みや時間の調整ができるかは、合理的配慮として話し合っておくことの一つです(合理的配慮)。
いつまでも最初の条件のまま仕事が増えたのに条件が変わらないと、やる気が続きません。見直しの時期(半年ごと・契約の更新時など)を決めておきます。
最初から長い時間にして、出勤が安定しなかった続けられる時間から始め、慣れてから延ばします。

求人票に書いておくこと

大阪の会社の場合

助成金が使えるかどうかは、雇い入れの前に確かめるのが大切です。採用の計画とあわせてご相談ください。

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お電話(06-6676-7072・平日9時〜18時)でも受け付けています。

更新日:2026年10月28日

よくある質問

障がい者雇用は、週何時間から法定雇用率に数えられますか?

週30時間以上で1人、週20時間以上30時間未満で0.5人と数えます。精神障がいのある方は、当分の間、週20時間以上30時間未満でも1人です。2024年4月からは、精神障がい・重度の身体障がい・重度の知的障がいのある方は、週10時間以上20時間未満でも0.5人と数えます。

障がいのある社員の給与は、最低賃金でいいのですか?

最低賃金は、障がいのある方にも原則として同じように適用されます(大阪府は2026年10月1日から時間額1,231円)。そのうえで、最低賃金から始めて、仕事の幅が広がるにつれて上げていく会社が多くあります。障がいがあることを理由に、同じ仕事をしている人より不当に低い給与にすることは法律で禁じられています。

最低賃金より低い給与にできる制度はありますか?

最低賃金の減額の特例という制度があります。ただし、都道府県労働局長の許可が必要で、障がいがあるだけでは認められません。障がいが仕事に直接、著しく影響していることが明らかな場合に限られる、厳しい制度です。

短い時間から始めて、あとで時間を延ばしてもいいですか?

はい。出勤が安定するまでは短い時間で始め、慣れてきたら時間と仕事を増やしていく形は、定着の面でもおすすめです。精神障がいのある方は週20時間以上30時間未満でも1人と数えるので、無理に長い時間から始める必要はありません。

昇給の仕組みは、必ず必要ですか?

法律で決まっているわけではありません。ただ、次にどうなれば給与が上がるのかが分かると、働く方のやる気が続き、定着しやすくなります。仕事の幅や勤務時間に合わせて、段階を決めておくことをおすすめしています。

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