この記事の答え
- 前提は「紹介」:特開金は、ハローワークか、特開金の取扱いを労働局に届け出た職業紹介事業者などの紹介で雇うことが前提です。求人サイトや自社への直接の応募で雇った方は対象外です。
- 順番に注意:紹介を受ける前に、面接や実習など採用に向けた選考を始めていた(内定していた)方は対象外です。紹介のあとの実習も、中身や長さによっては対象外になります。
- 金額(令和8年度・週30時間以上):精神障がい、重度または45歳以上の身体・知的障がいのある方は、中小企業が3年で240万円(6か月ごとに40万円×6回)、中小企業以外は1年6か月で100万円。それ以外の身体・知的障がいのある方は、中小企業が2年で120万円、中小企業以外は1年で50万円です(週20〜30時間なら80万円・30万円)。
- 中小企業かどうか:業種ごとの資本金か、常時雇用する労働者の数のどちらかで決まります。たとえば製造業などは、常時雇用する労働者が300人を超えていても、資本金が3億円以下なら中小企業です。もらえるかどうかは、最後は労働局が判断します。
この記事で分かること
- 特開金とは何か、障がい者を雇ったときの金額(令和8年度)
- もらえる条件(紹介の経路・続けて雇うこと・有期契約の自動更新)
- もらえなくなる例のチェックリスト(選考の順番・実習・解雇・申請の期限など)
- グループ会社の有料職業紹介からの紹介の扱いと、申請の流れ
特開金(特定求職者雇用開発助成金)とは
特開金は「特定求職者雇用開発助成金」の略です。障がいのある方を雇うときに使うのは、その中の「特定就職困難者コース」です。高年齢者や障がいのある方など、就職が特に難しい方を、ハローワークなどの紹介で、継続して雇う労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れた会社に、国が支給します。窓口は労働局とハローワークです。
対象になるのは、身体障がい・知的障がい・精神障がいのある方で、雇い入れの日に65歳未満の方です。障害者手帳を持っていない発達障がいや難病の方は、別のコース(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)になります(助成金一覧の早見表)。
まず押さえたいのは、この助成金の考え方です。厚生労働省は特開金を、会社が就職の難しい方の雇い入れを決めるための「インセンティブ(後押し)」と説明しています。だから、ハローワークなどが「特開金の対象の方」として紹介し、会社もそれを知ったうえで雇うと決める、という順番が求められます。対象の方だと知らずに雇い、あとで分かった場合も対象外です。
私たちは、この「後押し」という考え方を知っておくと、もらえなくなる例の多くが、なぜそうなるのか分かると考えています。紹介より前に雇うことが決まっていたなら、助成金が雇い入れを後押ししたことにはならない、という考え方だと受け止めています。
障がい者を雇ったときの金額(令和8年度)
金額は、雇う方の障がいの種類と年齢、週の所定労働時間、会社の規模で決まります。
| 雇う方(週の所定労働時間) | 中小企業 | 中小企業以外 |
|---|---|---|
| 身体・知的障がい(重度以外・45歳未満)/週30時間以上 | 120万円・2年 30万円×4回 | 50万円・1年 25万円×2回 |
| 重度の身体・知的障がい、45歳以上の身体・知的障がい、精神障がい/週30時間以上 | 240万円・3年 40万円×6回 | 100万円・1年6か月 33万円・33万円・34万円 |
| 身体・知的・精神障がい(重度を含む)/週20〜30時間 | 80万円・2年 20万円×4回 | 30万円・1年 15万円×2回 |
- 毎月ではなく、6か月ごとの区切り(支給対象期)ごとに申請し、まとめて支給されます。
- 1回の支給額は、その6か月に支払った賃金の額が上限です。
- 実際に働いた時間が所定労働時間よりかなり短い場合や、週あたりの賃金が「最低賃金×30時間」を下回る場合は、減額されることがあります。
- 「中小企業」の範囲は、業種ごとの資本金か、常時雇用する労働者の数で決まります(「中小企業」の範囲)。
月にならすと、中小企業が精神障がいのある方を週30時間以上で雇う場合で約6.7万円です。小さな金額ではありません。ただ、助成の期間はいつか終わります。私たちは、特開金を「雇う理由」ではなく「最初の数年を支える後押し」と考え、任せる仕事と、長く働き続けるための支えを先に決めることをおすすめしています。
特開金をもらえる条件
厚生労働省が示す主な支給要件は、「ハローワークなどの紹介で雇い入れること」と「雇用保険の一般被保険者として雇い入れ、続けて雇うことが確実であること」の2つです。障がいのある方を雇うときに、とくに確かめたいことを順に見ていきます。
1. ハローワークなどの紹介で雇い入れる
紹介できるのは、次のどれかです。
- ハローワーク(公共職業安定所)
- 地方運輸局(船員として雇い入れる場合)
- 適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者等:特定地方公共団体、厚生労働大臣の許可を受けた有料・無料職業紹介事業者、届出をした無料職業紹介事業者などのうち、この助成金の取扱いについて、厚生労働省職業安定局長が定める項目のすべてに同意する届出(同意書)を労働局長に出している事業者
同意書を出した職業紹介事業者には「雇用関係助成金の取扱事業者証」が交付され、厚生労働省が都道府県ごとの一覧を公開しています。紹介のときには、特開金の対象の方であることが示され、会社もそれを知っていることが必要です。
反対に、求人サイトや自社のホームページで直接募集して雇った場合や、ハローワークのオンライン自主応募で雇った場合は対象外です。直接の応募があったあとで、形だけハローワークなどの紹介を通した場合も対象外です。
「ハローワークに求人を出し、ハローワークから紹介を受けて採用する」。これが、特開金を使うときの基本の形です。有料職業紹介の会社や、就労移行支援事業所などの支援機関から、ご本人を直接紹介されて雇った場合は、紹介元が特開金を取り扱える事業者でなければ、対象外です。支援機関を利用している方を迎える場合も、ハローワークなどの紹介を受けてから選考を始めれば、対象になり得ます。ハローワークの求人票づくりから面接の同席までは、障がい者雇用の採用支援でお手伝いしています。
2. 続けて雇う(有期契約は「自動更新」だけ)
雇用保険の一般被保険者として雇い入れ、続けて雇うことが確実だと認められる必要があります。「続けて雇う」とは、65歳以上になるまで、かつ2年以上(支給要領では、上の表の240万円・100万円の区分の方は3年以上)続けて雇うことです。
- 正社員・無期雇用は対象です。
- 有期雇用は、本人が望む限り更新できる「自動更新」の契約だけが対象です。雇用契約書か労働条件通知書に「自動更新」と書く必要があります。
- 「勤務成績や勤務態度で更新を判断する」など、就業規則の解雇の要件を超える更新の条件が付いていると、自動更新と書いてあっても対象外です。
- 試用期間を設けるだけでは対象外になりません。ただし、第1期の申請のときにまだ試用期間が続いている場合や、試用期間と本採用で雇用契約が別の場合は対象外です。
「最初は1年契約にして、様子を見て更新したい」と考える会社もあると思います。ただ、特開金を使うなら、期間の定めのある契約は、自動更新でないと支給されません。働く様子を確かめてから決めたいときは、下で紹介する障害者トライアル雇用を使う方法があります。
3. 紹介の時点で、ほかで働いていない
紹介の時点で、雇用保険に入っている、または週20時間以上働いている方は、原則として対象外です。ただし、重度の身体・知的障がい、45歳以上の身体・知的障がい、精神障がいのある方を週30時間以上で雇う場合は、在職中でも対象になります。
特開金がもらえなくなる例(チェックリスト)
厚生労働省の支給要領・パンフレット・事業主向けQ&Aから、障がいのある方を雇うときに当てはまりやすいものを選びました。採用を決める前に、上から確かめてください。
| 確かめること | もらえなくなる例 | 根拠 |
|---|---|---|
| 紹介の経路 | 求人サイトや自社のホームページへの直接の応募で雇った/応募のあとに形だけ紹介を通した/ハローワークのオンライン自主応募で雇った/同意書を出していない紹介会社や支援機関から直接紹介された | 厚生労働省のページ(主な支給要件)、Q&A 問5・6 |
| 選考の順番 | 紹介を受ける前に、面接・実習・内定など、採用に向けた選考を始めていた | 支給要領 0205イ |
| 対象の方と知っていたか | 特開金の対象の方だと知らずに雇い、あとで分かった | Q&A 問3 |
| 雇う前の実習 | 紹介のあとの実習が、実質的に雇用関係の下で行われたと判断された/雇い入れ前の3年間に、その事業所での実習などが通算3か月を超えた | 支給要領 0205ハ、Q&A 問9・10 |
| 以前のつながり | 雇い入れ前の3年間に、その事業所で雇用・派遣・請負などで働いていた(トライアル雇用から続けて雇う場合を除く)/雇い入れ前の1年間にその方を雇っていた会社や、その親会社・子会社などが雇う/紹介した職業紹介事業者と、資本や役員でつながる会社が雇う/事業主や取締役の3親等以内の親族 | 支給要領 0205ハ・ニ・ホ |
| 紹介の時点の働き方 | 紹介の時点で、雇用保険に入っていた、または週20時間以上働いていた(重度の身体・知的障がい、45歳以上の身体・知的障がい、精神障がいのある方を週30時間以上で雇う場合を除く) | 支給要領 0205ロ |
| 契約の形 | 有期契約が自動更新でない/勤務成績で更新を判断するなど、就業規則の解雇の要件を超える更新の条件がある/第1期の申請のときにまだ試用期間が続いている、試用期間と本採用で契約が別 | 支給要領 0201イ、Q&A 問1・7 |
| 会社の解雇・離職 | 雇い入れの日の前後6か月(基準期間)に、その事業所の社員を会社の都合で解雇した(勧奨退職を含む。本人の責任による解雇などは除く)/同じ期間に、倒産・解雇などで特定受給資格者となる離職者が、被保険者数の6%を超えた(3人以下を除く)/過去3年間に、特開金の対象になった方を、助成の期間中に会社の都合で解雇・雇止めした | 支給要領 0201ロ〜ニ、パンフレット |
| 働き続けているか | 6か月の区切りの途中でご本人が辞めた(その区切りの分は、原則として支給されません) | パンフレット、支給要領 0204ロ |
| 手続き・帳簿 | 各期の末日の翌日から2か月以内に申請しなかった/賃金台帳を出さなかった(令和8年4月以降の申請分から不支給)/賃金を支払期日までに払っていない/労働保険料を滞納している | パンフレット、賃金台帳のリーフレット、支給要領 0205ト |
このほかにも要件があります。すべての要件は、厚生労働省の支給要領で確かめてください。
面接のあとに実習をしてから採用すると、もらえない?
「面接だけでは分からないので、実習で働く様子を見てから決めたい」。採用の進め方としては自然な考え方ですが、特開金を使うときは、実習の順番と中身に注意が必要です。
国の資料に書いてあること
- 紹介の前の面接・実習:紹介を受ける前に、採用に向けた選考を始めていた方は対象外です(支給要領 0205イ)。労働局は、必要に応じて、求人の申込み・求職の申込み・紹介・採用決定の日が、それぞれ近すぎないかも確かめます(支給要領 0703イ)。
- 紹介のあとの実習:採否を決めるための職場実習でも、実質的に雇用関係の下で行われた場合や、通算3か月を超える場合は対象外です(事業主向けQ&A 問10)。
- 実習の長さ:雇い入れ前の3年間に、その事業所で通算3か月を超えて訓練・実習等をした方は対象外です。名前や形を問わず、雇用関係に入る前に作業をしてもらうものが当てはまります(週平均3日以上のもの。特別支援学校の職場実習などは除く)(支給要領 0205ハ、Q&A 問9)。
私たちのご案内
現場で運営していて感じるのは、特開金がもらえると思って、面接のあとに適性を見る実習をしてから採用し、結果としてもらえなくなってしまうおそれがある、ということです。実習でどこまで実際の仕事をしてもらうかによっては「実質的に雇用」と見られることがあり、それを判断するのは会社ではなく労働局です。
だから私たちは、特開金を使うことを考えている会社には、基本は「実習をせずに、面接で決める」とご案内しています。面接では、ご本人が自分の特性や助けてほしいことを説明できるか(自己理解)と、安定して通えるかを確かめます(障がい者雇用の求人と面接のコツ)。
面接だけで決めて合わなかったら、という心配には、2つの支えがあります。試してから続けて雇う障害者トライアル雇用(この場合、特開金は第2期分から)と、入ってからの定着支援です。
障害者トライアル雇用は、実習ではなく、雇用契約を結んで原則3か月(精神障がいは原則6〜12か月)試しに働いてもらう制度で、これもハローワークなどの紹介が前提です。トライアル雇用のあと続けて雇う場合、特開金は第1期分が出ず、第2期分からになります(この場合の雇い入れの日は、トライアル雇用を始めた日です)。
グループ会社の有料職業紹介からの紹介でも、対象になります
ぷれいすGROUPのグループ会社には、有料職業紹介の許可を持ち、特開金の取扱いについて労働局長に同意書を出している(雇用関係助成金を取り扱える)法人があります。ここからの紹介で雇う場合も、ハローワークの紹介と同じように、特開金を申請できます(ほかの要件を満たす場合)。ただし、紹介した職業紹介事業者と、資本や役員でつながる会社(親会社・子会社、代表取締役が同じ会社、取締役の兼務が取締役会の過半数を占める会社など)が雇う場合は対象外です。資本や役員のつながりがなく、取引の関係だけの会社であれば、これには当たらないことを、私たちは労働局に確かめています。
民間の職業紹介事業者の紹介で雇ったときは、紹介した事業者が、雇い入れから1か月以内に労働局へ届け出ます(雇入登録)。会社は、事業者から紹介証明書を出してもらい、申請に使います。紹介の前に選考を始めない、という順番の決まりは、ハローワークの紹介と同じです。
NEXTぷれいすは、ハローワークの求人票づくり、グループ会社の人材紹介、面接への同行まで、採用の支援で行っています。助成金の相談と申請は、連携する社会保険労務士事務所とともに助成金の申請サポートでお手伝いします。
申請の流れと時期
- 求人を出すハローワーク、または特開金を取り扱える職業紹介事業者に求人を出します。厚生労働省のパンフレットにも「まずは求人提出が必要です」とあります。
- 特開金の対象の方として紹介を受ける面接などの選考は、紹介を受けてから始めます。
- 面接をして、採否を決める雇用の形(正社員・無期・自動更新の有期)と、週の所定労働時間を決めます。
- 雇い入れる雇用保険の資格取得の手続きをします。雇用契約書か労働条件通知書に、契約の形をはっきり書きます。出勤簿・賃金台帳・労働者名簿をそろえておきます。申請書類は、管轄の労働局から送られてきます(送る時点で要件に当てはまる会社に限ります)。
- 6か月ごとに申請する各支給対象期の末日の翌日から2か月以内に、事業所を管轄する労働局(またはハローワーク)へ申請します。第2期以降も同じです。
- 審査・支給労働局が要件に照らして審査し、支給か不支給かを通知します。支給が決まってから振り込まれるまでにも、一定の期間がかかります。
支給対象期は、雇い入れの日(賃金の締切日がある会社は、雇い入れ後の最初の締切日の翌日)から6か月ごとに区切ります。たとえば、賃金の締切日が毎月15日の会社が4月1日に雇い入れた場合、第1期は4月16日〜10月15日で、第1期の申請期間は10月16日〜12月15日です(厚生労働省のパンフレットの例)。
申請には、支給申請書のほか、賃金台帳・出勤簿・雇用契約書などを付けます。令和8年4月以降の申請分からは、賃金台帳の提出が確認できないと不支給になります。
最後は労働局が判断します。迷ったら、雇う前に確かめる
特開金がもらえるかどうかは、申請を受けた労働局が、要件に照らして審査して決めます。この記事は、2026年11月時点で公開されている令和8年度の資料(支給要領 R8.4.1版など)をもとにしていますが、要件や金額は年度ごとに変わることがあります。採用を決める前に、紹介を受けるハローワーク等や、事業所を管轄する労働局(大阪なら大阪労働局と各ハローワーク)で確かめてください。
私たちは、特開金でいちばん大事なのは、金額よりも順番だと考えています。求人を出す、紹介を受ける、面接で決める、契約の形を整える、期限までに申請する。この順番を押さえ、ほかの要件も満たせば、障がいのある方を迎える最初の数年を、国のしくみがしっかり後押ししてくれます。そのうえで、助成の期間が終わったあとも戦力として働き続けてもらうために、任せる仕事の切り出しと定着の支えを一緒に考えます。
御社の場合に特開金が使えそうか、どの順番で進めればよいか。30分のオンライン面談で一緒に整理できます。
この記事に出てくる言葉:特開金・障害者トライアル雇用(障がい者雇用の用語集で、ほかの言葉もまとめています)
