この記事のまとめ
- 特別支援学校を2025年3月に卒業した21,001人のうち、一般企業に就職したのは約29.8%、就労系の福祉サービスを使いはじめたのは約34.5%でした。
- 放課後等デイサービスの事業所への調べ(回答529件・複数回答)では、高校などの卒業で退所した利用者の進路は、福祉事業所での就労56.1%、生活介護48.2%、企業での就労15.3%、大学・専門学校等11.3%でした。
- 卒業後の道は1つではありません。18歳の春に決めきれなくても、学びながら整える時間をとる道があります。
- 就労移行支援の利用期間は、原則2年。市町村の審査で必要と認められたときに限り、最大1年の更新ができます。
- 2027年4月から、2年をこえて使いたい方は、就労選択支援で課題を整理してもらう予定です。そのやり方として「1年6か月ごろに延長が必要かを考える」などの案が、国の会議で出ました。
- 就職したあとの6か月の支え方と、放デイから卒業後の福祉サービスへの引き継ぎにも、見直しの案が出ています。
就労移行支援の期間は
「原則2年」
就労移行支援は、一般の企業で働くことをめざす方が、訓練や職場での実習、就職活動の支えを受ける福祉サービスです。今の決まりでは、就職してからの6か月は、送り出した事業所が職場になじめるよう支えます。そのあとは「就労定着支援」という別のサービス(最大3年)を使えます。
使える期間は、一人ひとり、標準の期間(24か月)の中で決めます。それをこえて使えるのは、市町村審査会で一人ずつ審査して、必要と認められたときだけです。のばせるのは最大1年なので、長くて3年になります。
- 標準の期間
- 2年(24か月)
- のばせる期間
- 最大1年(市町村審査会の審査で、必要と認められたときだけ)
- 就職したあと
- 6か月は、送り出した事業所が支えます。そのあとは就労定着支援(最大3年)。
ただ、国の資料には、2年をこえたときの期間の決め方について、約7割の自治体が一律に「1年」としていた、という調べ(2018年度の自治体の報告)が紹介されています。一人ひとりの状況に合わせた期間になっていない、という課題です。関係団体からも、同じような支援を受けていても、住んでいる市によって延長が認められたり、認められなかったりする、という声が出ています。
延長できるかどうかが、どの市に住んでいるかで変わるのは、ご本人やご家族にとって分かりにくいことです。延長を決めるときの材料をそろえよう、というのが今回の見直しの出発点だと、私たちは受け止めています。
その材料として、延長の前に入る予定なのが「就労選択支援」です。2025年10月に始まった福祉サービスで、作業の体験や面談を通して、ご本人の希望や得意なこと、向いている働き方を整理し、自分で進路を選べるように支えます。期間は原則1か月です(くわしくは就労選択支援とは(2ndぷれいすのページ))。
2027年4月から、
延長の前に「就労選択支援」
2027年4月からは、就労移行支援を2年をこえて使いたい方も、就労選択支援で課題を整理してもらった方が対象になる予定です。新しく就労継続支援A型を使う方も同じです。この予定は、前から示されていたものです。2026年9月28日の国の会議(障害福祉報酬改定検討チーム 第64回)では、これを予定どおり進める方向と、具体的なやり方の案が示されました。
1年6か月ごろに、延長が必要かを考える
就労移行支援の事業所が、使いはじめて1年6か月ごろを目安に、2年をこえて使う必要があるかを考えます。
必要なら、就労選択支援で確かめる
必要と考えたときは、就労選択支援で、ご本人の力や課題をあらためて確かめます(アセスメント)。
就職活動のまっさい中なら、例外も
2年目に職場での実習など就職活動を進めていて、アセスメントを受けるのが難しい一定の場合は、関係機関が集まるケース会議の記録などで更新できる案です。
市が判断する
お住まいの市は、アセスメントの結果やケース会議の中身も使って、延長するか、どのくらいのばすかを決めます。
延長の手続きは、ご本人とご家族だけで進めるものではありません。案では、通っている就労移行支援の事業所が必要性を考え、就労選択支援のアセスメント(または関係機関のケース会議)を経て、お住まいの市が決めます。また、就労移行支援の事業所は、相談支援専門員さん(福祉サービスの利用計画をつくる人)と連携して、就労選択支援のことを定期的に伝えることになっています。
関係団体からは、「利用開始後1年半から2年頃は、就職活動が本格化する重要な時期」で、この時期に就労選択支援を求めることは「就職活動の中断や利用者の負担増加につながり」、就職の機会を損なうおそれがある、という意見も出ています。3つ目の例外は、こうした心配もふまえたものだと、私たちは読んでいます。
この案を、私たちは「延長しにくくする決まり」というより、「2年がたつ前に、いちど立ち止まって考える決まり」だと受け止めています。正直に言うと、ここは答えが1つではない、むずかしいところです。同じ事業所で2年をこえて訓練を続けることが、本当にいちばん合う選択なのか。案を読んで、私たち自身も考えさせられました。
もちろん、延長して就職をめざすのも、いい選び方です。そのうえで、2年で進路が決まらないときは、就労選択支援でもう一度ふり返り、別の働き方から一つずつステップアップしていく道も、ひとつの選択肢だと私たちは考えています。たとえば、就労継続支援A型・B型で働きながら力をつけ、あらためて一般就労をめざす道です。大切なのは、ご本人が納得して、次の一歩を選べることです。
補足:延長のために使う就労選択支援は、中立に確かめるため、原則として、いま通っている事業所と同じ法人が運営するものは使えません(近くにほかの法人の事業所がない場合は別です)。これは今回の案ではなく、国がすでに示している取扱いです。
就職したあとの6か月の
支え方も、見直しの案
今は、就職してからの6か月は、送り出した就労移行支援の事業所が支えることになっています。ところが国の資料では、事業所によって支え方にばらつきがあり、この間に支援のつながりが切れてしまうことがある、とされています。第64回では、ここにも見直しの案が出ました。ご本人とご家族にいちばん関わりそうなのは、次の点です。
- 就職して短い期間で辞め、別の仕事を探すときは、6か月の上限なく、同じ就労移行支援の事業所が続けて支えられるようにする(ただし全体で利用期間の範囲内。就職したあとの支援は6か月まで)
ほかに、就職したあと一定の期間(6か月を想定)の支えを、回数や中身に応じて評価するしくみにする案や、短い期間で就職につなげて定着している事業所を、より高く評価する案も出ています。
資料には、「就職の前に時間をかけたほうが評価される今のしくみが課題」「早めに職場とつなぎ、就職したあとに本人に合った職場で訓練する、伴走型の支援が就職を進める」という指摘も紹介されています。国の方向は「長く準備する」より「つないで、支え続ける」に向いている、と私たちは読んでいます。
これは、さきほどの延長の話ともつながります。就職がゴールではなく、働き続けられることが大切です。ぷれいすカレッジの3・4年目も、事業所の中の練習だけでなく、企業見学や職場体験実習(予定)を組み合わせ、就職したあとの定着支援までを考えた内容にしています(4年間で学ぶこと)。
放課後等デイサービスからの
引き継ぎを、卒業後の福祉にも
18歳・高校卒業は、子どもの福祉サービス(児童福祉法)から、大人の福祉サービス(障害者総合支援法)へ切りかわる時期です。2026年10月5日の国の会議(第65回)の資料にも、「いわゆる『18歳の壁』の課題が指摘されている」と書かれています。18歳の壁と卒業後の選択肢は、18歳からの進路と「18歳の壁」(Linoぷれいすのページ)にまとめています。
今は、放課後等デイサービス(放デイ)が卒業後の進路に向けて関係機関と連携したときの評価(関係機関連携加算)は、就職先の企業などとの連絡調整が中心です。卒業後に福祉サービスの事業所へ移るときの引き継ぎは、十分に評価できていない、とされています。
そこで第65回では、評価の対象を、企業への就職だけでなく福祉サービスへの移行にも広げる案が出ました。進路先の調整は学校が中心になることを基本にしながら、障がいの特性や地域の受け入れ先の状況などで、学校の進路指導だけでは進路を決めにくい子どもについては、放デイが学校などと連携して行う受け入れ先探しや、実習・体験の調整も評価する方向です。進路先とのケース会議や情報の共有、支援の中身の引き継ぎも、評価の対象にする方向です。
ぷれいすGROUPは、Linoぷれいすで約10年、放課後等デイサービスを運営してきました。Linoぷれいすでは、18歳までは進路の相談に乗ることまで含めて放デイの役割だと考えています。卒業後に進む先が企業でも福祉サービスでも、それまでのご本人のことが次の場所へつながることが大切です。今回の案は、その考え方に近いものだと受け止めています。
卒業後の進路は、
人によってさまざま
国の資料には、卒業後の進路について、2つの数字がのっています。1つ目は、特別支援学校を2025年3月に卒業した21,001人の進路です(第64回の資料)。
- 一般企業への就職 約29.8%
- 6,263人
- 就労系の福祉サービスの利用 約34.5%
- 7,246人。就労移行支援、就労継続支援A型・B型など
2つ目は、放課後等デイサービスの事業所への調べ(回答529件・複数回答)です。2024年度に、高校などの卒業で放デイを退所した利用者が、どこへ進んだかをたずねています。
- 福祉事業所での就労 56.1%
- 就労継続支援の事業所・地域活動支援センターなどでの就労や、就労移行支援の事業所の利用
- 生活介護事業所の利用 48.2%
- 日中の活動や、生活の支援を受けながら過ごす場所
- 企業での就労 15.3%
- 企業で働く
- 大学・専門学校等への進学 11.3%
- 学校で学び続ける
出典:1つ目は障害福祉報酬改定検討チーム 第64回 資料(学校基本調査などから)。2つ目は令和7年度 子ども・子育て支援等推進調査研究事業「放課後等デイサービス等における利用ニーズ及び支援提供の実態把握に関する調査研究」報告書(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)で、第65回 資料より。2つ目は事業所にたずねた調べで、複数回答のため合計は100%をこえます。卒業した人の人数の割合ではありません。
国の資料は、2つ目の結果から「卒業後の進路は多様な状況にあると考えられる」とまとめています。企業に就職する人も、福祉のサービスを使いながら次の一歩を探す人も、進学する人もいます。卒業後の道は、1つではありません。
私たちは、就職も、B型も、生活介護も、どれもいい進路だと考えています。ただ、18歳の春に1つに決めきれないこともあります。一般の学生が数年かけて自分に合う道を探すように、障がいのある方にも「学びながら整える時間」があっていい。ぷれいすカレッジは、その4年間をつくるために準備しています。
2026年10月30日の国の会議(第67回)では、自立訓練の見直しも話し合われました。資料では、自立訓練(生活訓練)を使う方の例に「特別支援学校を卒業した者」が挙げられています。示された4つの論点(高次脳機能障害のある方の評価、リハビリテーション、住まいの施策との連携、看護職員の配置)に、生活訓練の利用期間(原則2年)を変える案は入っていません。
ぷれいすカレッジの4年間は、
この案で変わる?
ぷれいすカレッジは、2027年4月に箕面船場で開所予定の、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の多機能型の事業所です(行政の指定を受けることが前提です)。1・2年目は生活訓練で暮らしの土台を、3・4年目は就労移行支援で働く準備をします。
4年間の形は、変わらないと考えています
生活訓練も就労移行支援も、原則の期間(それぞれ2年)の中で組んでいます。はじめから延長を前提にしていないので、案のとおりなら、延長の新しい条件で4年間の形が変わることはないと考えています。受給者証は、お住まいの市が出します。
4年目のあとも、就労移行支援を続けたいとき
カレッジは、4年目を終えたら次の場所へ進む形で組んでいます。ここからは、4年目のあとも就労移行支援を続けたい方にだけ関わる話です。案のとおりなら、就労移行支援を使いはじめて1年6か月ごろ、カレッジでいえば4年目の秋ごろに、延長が必要かを考えることになります。ちょうど4年目の進路を考える時期と重なるので、延長が必要かどうかも、その中で一緒に考えます。なお、2027年4月に1年目として通いはじめた方が、就労移行支援を使いはじめるのは2029年4月の予定です。
4年目に、いくつもの道を並べる
4年目には、一般就労、就労継続支援A型・B型、サテライトオフィス、生活介護など、いくつもの道を並べて、ご本人とご家族と一緒に考えます。進路が決まりきらないときも、延長だけが答えではありません。就労選択支援でもう一度整理して、別の働き方から一歩ずつ進む道もあります。どの道に進んでも、4年間で身につけた生活の力と働く体は、そのまま使えます。
通いはじめるまでの流れや受給者証の手続きは見学・通いはじめるまでに、4年間や制度についての質問はよくある質問にまとめています。
まだ進路が決まっていない段階でも、保護者の方だけでも、ご相談いただけます。見学・体験も受け付けています。無料相談・見学のお申し込みからどうぞ。保護者の方へのページもあわせてご覧ください。
よくある質問
就労移行支援は、何年まで使えますか?
原則2年です。市町村審査会の審査で必要と認められたときに限り、最大1年の更新ができます(長くて3年)。2027年4月からは、2年をこえて使いたいときに、就労選択支援で課題を整理してもらう予定です。
延長の新しい条件は、もう決まったのですか?
2027年4月から、2年をこえて使いたい方は就労選択支援で課題を整理してもらう、という予定は前から示されています。具体的なやり方(1年6か月ごろに延長が必要かを考える、就職活動中の例外など)は、2026年9月28日の国の会議で案が出た段階で、これから決まります。
ぷれいすカレッジの4年間は、この案で変わりますか?
生活訓練2年と就労移行支援2年は、どちらも原則の期間の中で組んでいるので、案のとおりなら、4年間の形は変わらないと考えています。4年目を終えて、さらに就労移行支援を続けたい場合は、新しい条件があてはまる見込みです。
就職したあとに、すぐ辞めてしまったらどうなりますか?
今は、就職してからの6か月は、送り出した事業所が支えます。国の案では、短い期間で辞めて次の仕事を探すとき、6か月の上限なく、同じ就労移行支援の事業所が続けて支えられるようにする方向です(利用期間の範囲内)。決まるのはこれからです。
支援学校を卒業してすぐ、企業で働く人はどのくらいいますか?
国の資料では、特別支援学校を2025年3月に卒業した21,001人のうち、一般企業に就職したのは約29.8%、就労系の福祉サービスを使いはじめたのは約34.5%でした。また、放課後等デイサービスの事業所への調べ(回答529件・複数回答)では、高校などの卒業で退所した利用者の進路は、福祉事業所での就労56.1%、生活介護48.2%、企業での就労15.3%、大学・専門学校等11.3%でした。卒業後の進路は、人によってさまざまです。
この記事の出典
- 厚生労働省・こども家庭庁「就労系サービスに係る報酬・基準について≪論点等≫」障害福祉報酬改定検討チーム 第64回(2026年9月28日)資料(PDF。利用期間・特別支援学校の卒業後の進路:4〜5ページ、就職後の支援:11〜13ページ、延長と就労選択支援:50〜52ページ、関係団体の意見:56〜57ページ、中立性の確保(参考):120ページ)
- 厚生労働省・こども家庭庁 障害福祉報酬改定検討チーム 第65回(2026年10月5日)資料(子どもの支援の報酬・基準の論点。PDF。高校卒業後の移行と卒業後の進路:92〜95ページ)
- 厚生労働省・こども家庭庁 障害福祉報酬改定検討チーム 第67回(2026年10月30日)資料(自立訓練などの報酬・基準の論点。PDF。自立訓練の論点:3ページ、自立訓練(生活訓練)の概要:9ページ)
