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筋肉弛緩法って何?

「ストレスで肩がこる」
「緊張で体が固まる」…そんな経験、誰しも一度はあるのではないでしょうか。
私たちの心と体は密接につながっており、不安や緊張を感じると、自然と体の筋肉がこわばります。
反対に、体の力を抜いてリラックスできると、心も落ち着いてくるものです。
筋肉弛緩法(きんにくしかんほう)とは、そのメカニズムを活かしたリラクゼーションの方法です。
英語では「Progressive Muscle Relaxation(PMR)」と言います。
1930年代にアメリカの心理学者エドモンド・ジェイコブソンによって開発されました。
筋肉にギュッと力を入れてからストンと抜くという動作を繰り返すことで、
体の緊張を意図的に解きほぐし、同時に心の緊張も緩めていきます。
この方法は、海外だけでなく日本でも医療機関や福祉施設、教育現場で広く取り入れられており、
厚生労働省も「こころの耳」などのメンタルヘルス支援サイトで、
セルフケア法の一つとして紹介しています。
目次
ストレスが体に与える影響
私たちが不安や緊張を感じるとき、交感神経が活性化され、
身体は「戦うか逃げるか」の準備状態になります。
これは人間の本能的な防衛反応で、血圧や脈拍が上昇し、筋肉は緊張し、呼吸も浅く速くなります。
こうした反応が短時間で終わるなら問題はありませんが、ストレス状態が長く続くと、自律神経が乱れて、慢性的な疲労や不眠、胃腸の不調、免疫力の低下といった様々な不調が起こります。
特に就職活動や職場でのストレスは、本人の努力とは関係なく発生しやすいものです。
たとえば、面接やプレゼン、初めての職場に行く前など、
強い緊張感が生まれる場面では、手汗が出たり、お腹が痛くなったり、
言葉が出にくくなることもあります。
このような心身の反応をコントロールするために、筋肉弛緩法はとても役立ちます。
筋肉の緊張を解き、リラックスした状態を体で体験することで、
ストレスに強い心と体をつくっていくことができるのです。
筋肉弛緩法のやり方
筋肉弛緩法は、以下の手順で誰でも簡単に実践できます。特別な道具や場所は必要なく、椅子に座ったままでも、寝転んだ状態でもできます。
1. 静かな環境を整える
テレビやスマホの音がない静かな部屋で行いましょう。できればゆったりとした服装で、照明も少し落とすとよりリラックスできます。
2. 深呼吸をして気持ちを整える
数回、深く呼吸して、意識を今この瞬間に向けましょう。吸って、吐いてを3〜4回ほどゆっくり繰り返します。
3. 筋肉に「力を入れてから、抜く」
以下のように、部位ごとに順番に力を入れて→抜くを繰り返します。それぞれの部位で力を入れたまま5秒間キープし、パッと力を抜きます。抜いた後の脱力感やゆるみを意識しましょう。
● 手と腕
両手をギュッと握って5秒 → パッとゆるめる
腕にグッと力を入れて、肩まで力をこめて5秒 → ストンと抜く
● 肩と首
肩をぐっとすくめて首に力を入れて5秒 → 一気にゆるめる
● 顔
眉をひそめて額にシワを寄せて5秒 → 力を抜く
目をギュッと閉じて、口をしっかり結んで5秒 → 力を抜く
● 背中とお腹
お腹にグッと力を入れて5秒 → ゆるめる
背筋を伸ばして少し反らせて5秒 → 力を抜く
● 足
太ももに力を入れて膝を押し合うように5秒 → 力を抜く
つま先を立てるように足首に力を入れて5秒 → ゆるめる
これを一連の流れで行うと
全身の筋肉が緩み、脳が「リラックス状態」と認識するようになります。
仕事や面接の前でリラックスする方法
~たった2分で心を整える「筋肉弛緩法」~
就職活動の面接や新しい職場での初出勤、人前での発表など、誰もが緊張してしまう場面があります。そんなときに役立つのが「筋肉弛緩法(Progressive Muscle Relaxation/PMR)」という
シンプルなリラクゼーション法です。
この方法は、もともとアメリカの心理学者エドモンド・ジェイコブソンによって開発されたもので、
「筋肉の緊張と弛緩を繰り返すことで、心身をリラックスさせる」という原理に基づいています。
実際に国内外の医療現場やストレスマネジメント教育、福祉支援の現場でも広く導入されています。
■ どんな場面で使えるの?
筋肉弛緩法は、慢性的なストレスケアはもちろん、緊張しやすい直前の場面でも高い効果が期待できます。以下のようなタイミングで、ぜひ活用してみてください。
- 面接や発表の直前
- 初出勤や新しい環境に行く前
- 人と話すのが苦手なとき
- 仕事でミスをして気持ちを落ち着けたいとき
これらのシチュエーションでは、身体が無意識に緊張し、呼吸が浅くなりがちです。筋肉弛緩法を取り入れることで、自律神経が整い、リラックスした状態で物事に臨むことができます。
■ 忙しい時にもできる「簡易バージョン」(約2分)
忙しい朝や直前のタイミングでは、フルバージョンの筋肉弛緩法を行う時間がないかもしれません。そんなときにおすすめなのが、以下の2分でできる簡易バージョンです。
【簡易版筋肉弛緩法】
- 椅子に座って背筋をまっすぐにする
→ 座ることで体の安定感が増し、集中しやすくなります。 - 手をぎゅっと握って5秒キープ → パッと開く
→ 手の緊張を抜くことで、脳へのリラックス信号が送られます。 - 肩をすくめて5秒キープ → ストンと落とす
→ 肩の力が抜けることで、呼吸も深くなります。 - お腹を少しへこませて5秒キープ → ゆるめる
→ 腹筋の緊張と解放は、自律神経を整える効果があります。 - 深呼吸を2〜3回ゆっくり繰り返す
→ 最後の呼吸で、心拍や気分が整っていきます。
この方法なら、トイレや控室、通勤電車の中などでも気軽に行えるため、ぜひ日常の「ルーティン」に取り入れてみてください。
■ 科学的な根拠と推奨事例
厚生労働省の「こころの耳」や「職場におけるメンタルヘルス対策マニュアル」でも、リラクゼーション法(筋弛緩法)はセルフケアの一環として推奨されています。また、うつ病や不安障害などへの補助的な心理療法としても活用されています。
■ リラックスは「自分の力」できる
不安な場面で緊張してしまうのは、よくあることです。大切なのは、「自分で自分の緊張に気づいて、整えられる」方法を一つでも持っていることです。筋肉弛緩法は、特別な道具も時間も必要なく、「今ここ」でできる心強い味方です。
まずは今日、ひとつ実践してみませんか?
「大丈夫、ちゃんと落ち着ける方法を知っている」。
その安心感が、きっとあなたの背中を押してくれるはずです。
まとめ:毎日のリラックスタイムで心を整えよう
「最近ちょっと疲れたなぁ…」と感じたとき、あなたはどうしていますか?
高いマッサージや特別なケアをしなくても、
「筋肉をゆるめる」だけで心がふっと軽くなることがあります。
それが「筋肉弛緩法」という、誰でも簡単にできるリラクゼーション法です。
この方法は、肩や手足の筋肉を「ぎゅっ」と緊張させてから「ストン」とゆるめるだけ。
たったこれだけで、自律神経が整い、不安や緊張がスッと和らぎます。
呼吸も自然と深くなり、気持ちが落ち着いていくのを感じるでしょう。
就労移行支援の現場でも、面接前の緊張や、新しい環境への不安を感じやすい利用者さんに、
この方法はとても役立っています。
「何もできない」と思っていた人が、
「あ、これなら自分にもできる!」と自信を持てる第一歩になることも少なくありません。
心のセルフケアは、ほんの5分の習慣から始まります。
お風呂上がりや寝る前、仕事や訓練の合間に、
少しだけ自分の体と向き合う時間を作ってみてください。
筋肉弛緩法は、
厚生労働省が運営するメンタルヘルス支援サイト「こころの耳」でも紹介されており、
職場でのストレス対策やセルフケアのひとつとして推奨されています。
ちょっとした習慣が、あなたの毎日に安心感と落ち着きをもたらしてくれるはずです。
「できることから、ひとつずつ」。それが、心を整える一番の近道かもしれません。