ADHDとは?特性・仕事の悩み・職場での工夫をわかりやすく解説

ADHDとは?

ADHD(注意欠如・多動症)は、発達障害のひとつであり、「注意力が散漫」「落ち着きがない」「衝動的に行動してしまう」といった特性がある状態です。子どもに多い印象を持たれることが多いですが、大人になっても症状が続くことがあります。「大人のADHD」として社会生活や仕事の中で困りごとを感じる方も少なくありません。

ADHDは医学的な診断名であり、脳の働き方の特性によるものとされています。

苦手なこともありますが、反対に得意なことや強みが活かされる場面もあります。

うまく環境を整えることで、自分らしく働くことも十分可能です。

ADHDの特徴

ADHDの特徴は大きく分けて3つに分類されます。

1. 不注意(注意が散漫になる)

  • 忘れ物やミスが多い
  • 話を最後まで聞けない
  • 長時間の作業に集中しづらい
  • 時間管理が苦手

2. 多動(じっとしていられない)

  • 手足を動かし続けてしまう
  • 落ち着きがなく、無意識に動いてしまう
  • 会議中などでも姿勢が崩れる

3. 衝動性(思いついたらすぐ行動してしまう)

  • 順番を待つのが苦手
  • 発言を遮ってしまう
  • 後先を考えず行動してしまう

この3つの傾向は人によって現れ方に違いがあり、「不注意が強いタイプ」「多動・衝動が強いタイプ」「混合型」などに分けられます。

ADHDの意外な強み

ADHDには困りごとがある一方で、人によっては強みや魅力が活かされる場面もあります。

  • 発想力が豊か:アイデアをたくさん出せる
  • 行動力がある:思い立ったらすぐ行動できる
  • エネルギッシュ:一つのことに夢中になれば誰よりも力を発揮
  • 好奇心が旺盛:新しいことに挑戦するのが好き
  • 共感性が高い:他者の感情に敏感で、やさしい面がある

これらの強みは、環境さえ整えば大きな武器になります。

どんな仕事が向いてるの?

ADHDの方は、自分の特性に合った働き方を見つけることが大切です。以下は、特性や環境によって比較的向いているとされる仕事の一例です。

  • クリエイティブ職(デザイナー、映像編集、ライターなど)
  • IT・プログラミング系(コードに没頭できる)
  • 営業職・接客業(会話の中での機転やフットワークの軽さが活きる)
  • 軽作業や体を動かす仕事(ルーティンの作業に集中しやすい)
  • 自営業・フリーランス(自分で時間や方法を調整できる)

一方で、細かい事務作業やスケジュール管理を要する仕事は苦手な場合もあります。ですが、工夫や支援によって乗り越えられることも多いです。

職場に自分のことを伝えるには?

ADHDは見た目では分かりにくいため、配慮を得るには「伝え方」が大切です。

1. 医師の診断書や意見書を活用する

公的な診断があることで、職場も理解しやすくなり、合理的配慮(例えば時間調整や業務分担の見直し)につながりやすくなります。

2. 支援者に同席してもらう

就労移行支援や地域障害者職業センターの職員が、企業との橋渡し役になってくれることがあります。

3. 「困っていること」「配慮してほしいこと」を整理しておく

例えば、「メモを取りながら聞いてもいいですか?」「納期を1日早めに伝えてもらえると安心です」など、具体的に伝えると相手も対応しやすくなります。

ADHDの方が職場で注意しておくポイント

1. 自分のペースを大切にする

ADHDの方は、環境刺激に敏感だったり、集中と疲労の波が大きかったりすることがあります。
そのため、 こまめな休憩や気分転換 を取り入れ、自分のエネルギーのペース配分を意識することが大切です。
たとえば、ポモドーロ・テクニック(25分作業+5分休憩)など、自分に合う時間管理法を取り入れるのもおすすめです。

2. スケジュール管理を工夫する

ADHDの方にとって、 タスクの抜けや遅れ は大きなストレスになります。
以下のようなツールや習慣を使うと、安心感と実行力がアップします。

  • Googleカレンダーやアラームで予定を可視化&リマインド
  • 朝のToDo確認タイムを習慣化する
  • タスクは「やること」「いつやるか」「どこでやるか」まで具体化にする

3. 仕事の優先順位をサポートしてもらう

「何から手をつければいいのかわからない」という混乱が起こりやすい場合、 上司や同僚に相談して整理してもらう のはとても効果的です。


  • 朝礼でその日の重要タスクを確認する
  • 作業手順を一覧にしてもらう
  • わからなくなった時に聞きやすい関係性を作る

4. マルチタスクを避ける

ADHDの方は「同時進行」が苦手なことが多いため、 一つの作業に集中できる環境 を意識してみましょう。


  • デスク周りの視覚情報を減らす
  • 通知を切って作業に集中
  • 作業はできるだけ分割して、ステップごとに進める

5. 忘れ物・置き忘れを防ぐ工夫

業務用の道具や資料の管理に不安がある場合、 「置き場所ルール」や「チェックリスト」 を取り入れてみましょう。

  • 荷物を入れるトレイやボックスを決める
  • 帰宅時・外出時の持ち物チェックリストを活用
  • デジタルメモアプリ(Google Keepなど)で随時記録

6. 感情の波に対処する方法を知っておく

ADHDの方は、感情が急に高ぶったり、気分が落ち込んだりしやすい傾向があります。
感情のコントロールに苦労するときは、以下のような工夫が有効です。

  • 呼吸法やストレッチでクールダウンする
  • 苦手な人や状況を避ける時間をつくる
  • 感情のトリガーを振り返って記録する習慣をつける

7. 周囲に「ちょっとしたお願い」ができる関係性を築く

「配慮してほしい」と言うのは勇気がいることですが、小さなお願いから始めると職場の理解が広がりやすくなります。

たとえば:

  • メモでの指示をお願いする
  • 緊急の用事は口頭よりもチャットで知らせてもらう
  • 作業を始めるタイミングの声かけをお願いする

ADHDの方が働きやすくなるには、 「自分を理解すること」+「周囲と協力して工夫すること」 がポイントです。
「苦手なこと」は工夫すれば補えます。「得意なこと」を活かせる場面もたくさんあります。無理なく働けるスタイルを、焦らず一緒に見つけていきましょう。

企業側はどんな配慮をすればいいの?

ADHDの方が安心して働けるために、職場では以下のような配慮が有効です。

  • 業務の見える化(手順書やチェックリストを用意)
  • 環境調整(静かな席や、集中しやすい配置にする)
  • 休憩のタイミング調整(集中が切れる前に小休憩を取りやすくする)
  • 業務の分担・優先順位の確認
  • フィードバックのタイミングを早める(できるだけリアルタイムで声かけ)

「特別なこと」ではなく、「誰にとっても働きやすい職場づくり」の一環として対応することがポイントです。

ADHDの方が受けられる就労支援

ADHDの方は、障害福祉サービスや公的制度を通じて、就労に関する支援を受けることができます。

1. 就労移行支援(福祉サービス)

就職を目指す障害のある方向けの福祉サービスです。生活リズムの改善、就職に向けたトレーニング、職場体験などを受けることができます(原則最大2年間)。

2. 精神障害者保健福祉手帳

医師の診断によりADHDでも取得できる場合があります。手帳を持つことで、障害者雇用枠での就職や通勤時の交通機関割引、税金の控除などのメリットがあります。

3. 地域障害者職業センター

職場定着支援や職業評価、職場への同行支援などを行ってくれる専門機関です。

4. リワーク支援

一度休職した方が、職場復帰に向けて段階的に練習・支援を受けられる医療・就労一体型のプログラムです。

5. ハローワーク専門支援

発達障害などに理解のある相談員が配置されており、就職活動の悩みを気軽に相談できます。

最後に

ADHDは決して「欠点」ではなく、「特性」です。苦手なことがある一方で、それを補える工夫や環境調整、支援制度がたくさんあります。そして何より、ADHDならではの強みを活かせる仕事や職場もたくさんあります。

ひとりで悩まず、相談できる相手や支援機関とつながりながら、自分らしい働き方を一緒に見つけていきましょう。