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就労選択支援とは? 自分に合った働き方を選ぶためのサポートを解説
「自分に合った働き方って、なんだろう?」 「どの福祉サービスを選べばいいか、正直わからない…」
そんな悩みを抱える方に向けて、新しく始まったのが「就労選択支援」です。 この制度は、就職を目指す障害のある方が“自分に合った就労支援サービス”を見つけるためのサポートを行う新しい制度となっています。
目次
目的とは
就労選択支援は、障害のある方が自立に向けて就労を目指す中で、就労移行支援や就労継続支援(A型・B型)など、自分に適した福祉サービスを選ぶための準備期間として位置づけられています。
「就職はしたいけど、どんな支援が自分に合っているかわからない…」 「いきなり訓練に入るのは不安…」
そんな方が、自分に合った支援先を見つけるために、実際の体験や面談を通じて選択のサポートを受けられるのが、この就労選択支援の目的です。
この制度は、「働く」ことにまだ少し不安がある人にとって、安心して第一歩を踏み出せるよう配慮されたサービスです。たとえば、これまで働いた経験が少ない、ブランクがある、自分の障害特性と職場の相性が気になる……。そんな想いを持つ方に、「焦らなくていいよ」「まずは見てみよう」という優しい入口を提供します。
そのため、支援者との面談では、将来的な希望や不安、日常生活の様子まで丁寧に確認しながら、無理のない支援計画を一緒に作成していきます。これが「準備期間」としての役割。自分を知り、環境を知り、適した選択ができるようにすることが、就労選択支援の一番の目的です。
特徴
- 最大6か月間、他の就労支援サービスの前段階として利用できる
- 自分に合った支援先を選ぶための“体験的な支援”
- 各事業所とのマッチング・見学・体験などが可能
- 個別支援計画をもとに、一緒に進路を考える
就労選択支援は、他のサービスと違って“就職に直結する訓練”ではありません。まずは「安心して支援を選ぶ」ことに焦点を当てたサービスです。
たとえば、「就労移行支援でしっかり訓練したいのか」「作業を通じて自信をつけたいのか」など、利用者によって望む支援の形はさまざまです。その判断をサポートするために、複数の支援事業所を見学したり、数日間の体験を通して雰囲気をつかんだりすることができます。
また、面談を通じて「本当はどんな働き方をしたいのか」「今は何が心配なのか」といった気持ちを整理することも大切です。支援員と一緒に考えることで、「自分に必要なサポートは何か」が徐々に見えてきます。
このように、就労選択支援は「選ぶ力」を育てるステップ。焦らず、自分のペースで未来の道筋を描けるように支えていくのが、この制度の最大の特徴です。
利用の流れ
- 市区町村へ利用の相談
- 相談支援専門員による「サービス等利用計画案」の作成
- 必要書類を揃えて申請
- 受給者証の交付
- 就労選択支援事業所と契約し、支援開始
- 定期的な面談・支援を通じて、今後の進路を検討
まずはお住まいの市区町村の窓口で「就労選択支援を利用したい」という意思を伝えることからスタートします。その後、相談支援専門員と一緒に現在の状況や希望などを話し合いながら、「サービス等利用計画案」を作成していきます。これは、どのような支援が必要かを整理する大事なステップです。
申請に必要な書類(障害者手帳、本人確認書類、印鑑など)をそろえて提出すると、市区町村での審査を経て「障害福祉サービス受給者証」が交付されます。この受給者証をもとに、実際に支援を受ける事業所と契約し、いよいよ支援が始まります。
支援が始まったら、月に1回以上のペースで面談を行いながら、支援員と一緒に自分に合った今後の進路を考えていきます。たとえば「就労移行支援ってどんな雰囲気なんだろう?」「A型とB型の違いがわからない」といった疑問も、実際に見学や体験をすることで解消されていきます。
このように、支援はただの相談ではなく、実際に現場を見て、感じて、納得したうえで次のステップを選べるようサポートするものです。自分一人で悩まずに、専門のスタッフと一緒に進んでいけることが、就労選択支援の大きな魅力です。
サービス内容
- 相談支援・キャリアカウンセリング
- 事業所の見学・体験利用の調整
- 個別支援計画の作成
- 就労先や支援先のマッチング支援
- 就労移行・継続支援等へのスムーズな移行支援
「無理に訓練させる」のではなく、「じっくり選べる」ことが特徴です。支援員は利用者の気持ちに寄り添いながら、「どんな働き方が向いているか」「どのサービスが安心して続けられそうか」といった視点で、一緒に考えてくれます。たとえば、見学した事業所で「雰囲気が自分に合っていた」「他のところも見て比べたい」と感じた場合は、柔軟にスケジュールを調整してくれます。
また、支援の中では、これまでの経験や得意なこと、苦手なことを整理する時間も設けられます。こうした振り返りを通して、自分自身への理解が深まり、進路の選択に自信が持てるようになります。選ぶプロセスそのものが、将来の就労に向けた大切な準備なのです。支援員と二人三脚で、一歩ずつ「自分らしい働き方」への道を描いていきましょう。
対象者
以下のような方が対象になります:
- 就労を希望する障害のある方(身体・知的・精神・発達障害など)
- どの就労支援サービスを選べばよいか迷っている方
- 就労移行支援や継続支援の利用に踏み出せない方
就労に向けて動きたいけど不安がある…という方が、最初の一歩を踏み出す場として活用されています。
雇用契約
就労選択支援では、雇用契約は結びません。 これはあくまで支援サービスであり、職場体験や就労支援サービスの選択に向けた準備期間にあたります。
利用料
就労選択支援も、他の障害福祉サービスと同様に、原則として1割自己負担です。 ただし、所得に応じて以下のように上限額が定められています。
| 世帯所得の目安 | 月額上限額 |
| 生活保護世帯 | 0円 |
| 低所得世帯 | 0円 |
| 一般1(概ね年収300万円以下) | 9,300円 |
| 一般2(概ね年収600万円以上) | 37,200円 |
工賃
就労選択支援では、作業や訓練を行うわけではないため、工賃の支給はありません。 あくまでも「就労に向けた準備期間」であることをご理解ください。
年齢制限
原則として18歳以上65歳未満の方が対象です。 ただし、就労に向けた意欲があり、サービス利用が適切と判断された場合には、個別対応がなされることもあります。
利用期間
利用期間は原則として最大6か月です。 その間に、自分に合った就労支援サービス(移行支援・継続支援など)を選び、スムーズな移行を目指します。
まとめ:迷っているあなたへ、まずは“選ぶための支援”を
「働きたいけど、自信がない」「どこに相談したらいいのかわからない」
そんなあなたの気持ちに寄り添ってくれるのが、就労選択支援です。 この支援は、無理に何かを決めさせるものではありません。
「自分に合うかどうか、少し試してみたい」 「見学だけでもしてみたい」 そんな気持ちを大切にしながら、支援員と一緒に今後の進路を考えていきます。
誰かと一緒に考えるだけで、道が見えてくることもあります。 焦らず、少しずつ、あなたのペースで未来を描いてみてください。
就労選択支援は、その一歩を踏み出すための“安心の場”です。 気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談くださいね。