地域連携推進会議は、グループホームが、利用者さん・ご家族・地域の方・市町村の担当者などを招いて、ホームの運営のようすを報告し、意見をもらう会議です。2025年度から、グループホームは原則として、この会議を開くことが義務になっています。
2027年度の報酬改定に向けて、国は、この会議を年2回以上にし、ホームの自己評価と、会議での外部評価の結果を公表する案を出しました(2026年10月30日)。まだ決まったことではありません。
この記事のまとめ
| いまの決まり | 会議を年1回以上・メンバーの見学を年1回以上・会議の記録(議事録)を公表。2025年度から原則として義務 |
|---|---|
| 見直しの案 | 会議を年2回以上に。チェックシートで自己評価し、会議で外部評価。どちらの結果も公表 |
| そのほかの案 | 定員8人以上の大きな住居への「減算」を見直す |
| 決まっていること | 2026年6月1日以降に新しく指定されたホームは、2027年度の改定まで、基本の報酬が少し低い「応急的な単価」 |
| ホーム選びでは | どのホームでも、見学や相談のときに、会議の記録・地域とのつながり・話しやすさを聞いてみる(くわしく) |
この記事は、厚生労働省の「障害福祉報酬改定検討チーム」第67回(2026年10月30日)の資料にある「〜してはどうか」という検討の方向性(案)をまとめたものです。決まったら、この記事でお知らせする予定です。
地域連携推進会議とは(いまの決まり)
地域連携推進会議は、2024年度の報酬改定で新しくできたしくみです。グループホームを運営する事業者が開きます。国の基準(障害者総合支援法にもとづく指定基準の第210条の7)では、次のように決まっています。
| 誰が集まる? | 利用者さんとご家族、地域住民の代表、グループホームについて知識のある人、市町村の担当者など。テレビ電話などを使って、オンラインで開くこともできます |
|---|---|
| 何をする? | ホームの運営のようすを報告し、必要な要望や助言を聴きます |
| 何回? | おおむね1年に1回以上 |
| 会議のほかに | おおむね1年に1回以上、会議のメンバーがホームを見学する機会をつくります(国の資料では、住居ごとに見学する形が示されています) |
| 記録 | 報告・要望・助言の記録(議事録)をつくり、公表します |
※外部の人の評価を受けてその実施状況を公表している場合や、それに準じるとして都道府県知事が定める取り組みをしている場合は、上の会議・見学・記録の決まりは当てはまりません(指定基準 第210条の7 第5項)。
いつから? 2024年度(令和6年度)は努力義務で、2025年度(令和7年度)から原則として義務になりました。
なぜできたのか
国の資料は、障がい福祉の経験が少ない事業者の参入が増え、障がいの特性に合った支援が届かないといった「支援の質の低下」が心配されていることを挙げています。そのうえで、暮らしの場は運営が閉じたものになるおそれがあるため、地域の関係者を含む「外部の目」を定期的に入れることが、運営の透明性を高め、一定の質を保つことにつながる、としています。
グループホームは、ご本人にとって毎日を過ごす「家」です。家の中のことは、外からは見えにくいものです。私たちは、外の目が入るしくみは、住む人を守り、ホームの運営を良くしていくために欠かせないものだと考えています。
2027年度に向けた見直しの案(2026年10月30日)
国は2026年2月に「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン」をつくり、ホームが運営やサービスを自分で点検するためのチェックシートを示しました。ただ、点検のやり方や、それを確かめるしくみはまだ十分ではなく、国の資料は、事業所ごとの取り組みに「相当のばらつき」があると書いています。そこで、次の案が出ています。
| 項目 | いま | 案(まだ決まっていません) |
|---|---|---|
| 会議の回数 | おおむね1年に1回以上 | おおむね1年に2回以上 |
| 自己評価 | 「サービスの質の評価を行い、改善を図る」と決まっているが、具体的なやり方は示されていない | ガイドラインのチェックシートで、ホームが自分のサービスを点検する |
| 外部評価 | 義務ではない | 自己評価の結果を、地域連携推進会議で第三者の目から評価する。市町村の職員や基幹相談支援センターの職員、公正・中立な立場の人に参加を求めることも検討 |
| 公表 | 会議の記録(議事録)を公表 | 自己評価と外部評価の結果も公表する(利用者さん・ご家族に渡す、国の情報公表システム、法人のホームページ、ホームの中の見やすい場所への掲示など) |
| 日中サービス支援型 | 会議に加えて、地域の協議会などの評価も受ける | 自己評価・外部評価のしくみができることを前提に、協議会などの評価はやめる方向(負担を減らすため) |
会議を年2回にするのは、「要望・助言を聴くこと」と「外部評価」のそれぞれに、十分に話し合う時間をとるためとされています。介護保険の認知症グループホームで行われている評価のしくみを参考にした案で、点検の負担に配慮して、必ず行うチェック項目を全体の3分の1ほどに絞ることも検討されています。あわせて、ホームの管理者に資格の要件を設けることや、世話人など直接支援する職員の研修についても、検討が進んでいます。
私たちは、この見直しは必要だと考えています。全国には、意見が出にくく、報告を聞いて終わるだけの「形だけの会議」になっている例も少なからずあると感じています。これは、どこかのホームが悪いという話ではありません。地域連携推進会議は、義務になってまだ日が浅いしくみです。自己評価という「たたき台」があり、第三者がそれを見て意見を言う形になれば、何を話し合えばよいかがはっきりします。
会議を「形だけ」にしないために大切なこと
では、回数を増やせば、意見は出やすくなるのでしょうか。私たちは、それだけでは足りないと考えています。もっと大切なのは、会議の外、つまりふだんの暮らしの中で、ホームと地域がつながっていることです。
国の基準も、会議の決まりより前に「地域住民やその自発的な活動などと連携・協力し、地域との交流を図らなければならない」と定めています(指定基準 第210条の7 第1項)。ガイドラインのチェックシートにも「地域に開かれた事業運営」という項目があり、国の資料の記入例には「日常的に地域住民等との交流を図り」「地域の行事や活動等に積極的に参加している」と書かれています。
ホームの利用者さんやスタッフが、地域の行事や社会参加を通して、地域の人と顔見知りになる。そうして、ホームの中も外も風通しのいい環境を、町全体でつくっていく。私たちは、それが地域連携推進会議をきちんと機能させる、いちばんの近道だと考えています。
「心理的安全性」の高い会議に
心理学には「心理的安全性」という言葉があります。「思ったことを言っても、責められたり笑われたりしない」と、その場の人が感じられる状態のことです。初めて会う人ばかりの会議では、ご本人やご家族も、地域の方も、気になっていることを口に出しにくいものです。ふだんから顔を合わせている間柄なら、会議も心理的安全性の高い場になり、ホームがより健全に運営できるような、良い意見が出やすくなるはずです。
1stぷれいすは、ご本人にもご家族にも、そして地域の方にも「1stぷれいすがあってよかった」と思っていただけるグループホームを目指しています。スタッフの話し合いからまとめた「大切にしていること」にも、「気持ちを伝えやすい関係を」「決めるのはご本人」という約束があります(1stぷれいすとは)。イベントの1つとして、地域の清掃活動「西淀川区クリーン大作戦」に参加し、公園のごみ拾いをしたこともあります(これまでのイベント(ブログ))。
定員8人以上の大きな住居の「減算」の見直し案
グループホームは、地域の中で、家庭的な雰囲気のもと、少人数で暮らす住まいです。1つの住居の定員は原則10人以下で(すでにある建物を使う場合などの例外あり)、1住居あたりの利用者数の平均は、およそ6人です。
国は、大きな住居が増えすぎないよう、定員8人以上の住居(日中サービス支援型は21人以上)や、近くの住居をまとめて運営して定員の合計が21人以上になる場合などに、報酬を減らす「大規模住居等減算」を行っています。それでも、定員8人以上の住居は、2015年度の2,066か所から、2024年度の6,655か所へと、10年でおよそ3.2倍に増えました。国の資料は、減算の対象になる事業所は、対象にならない事業所と比べて収支差率が高い水準にあり、いまの報酬の評価が運営の実態に見合っていないのではないか、という課題も挙げています。
収支差率の数字(国の資料より)
収支差率は、収入と支出の差が、収入に占める割合です。国の資料(令和7年障害福祉サービス等経営概況調査の任意集計)では、大規模住居等減算を算定している事業所は+8.6%、算定していない事業所は+4.9%でした。国の資料は、特に一定の規模以上の事業所で差が大きい傾向が見られる、としています。
国の資料は、住居が大きくなると、実際には入所施設に近い暮らしになり、家庭的な環境が損なわれるおそれがあること、支援が画一的になり、見守りが手薄になりやすいことを挙げています。そこで、定員8人以上の住居を複数持つ事業所や、定員21人以上の住居などについて、減算の率を見直す案が出ています(2026年度の経営実態調査の結果も見て検討する方向)。日中サービス支援型の、定員8人以上20人未満の住居を減算の対象にすることも検討されています。
住む人にとって大切なのは、一人ひとりの声が届き、自分のペースで暮らせることだと私たちは考えています。人数の多い少ないだけで良し悪しは決まりませんが、ホームを選ぶときは、住居の定員やスタッフの体制を、見学で確かめてみてください。1stぷれいすには、一戸建てのホームや、ワンルームマンションタイプのホームがあります(ホームを探す・空室)。
2026年6月からの「応急的な単価」(決まっていること)
こちらは案ではなく、すでに決まっていることです(2026年2月18日にまとまった2026年度の報酬改定)。グループホームでは、2026年6月1日以降に新しく指定された事業所に限り、2027年度の報酬改定までのあいだ、基本の報酬を一定程度引き下げた「応急的な単価」になります。前からあるホームは、これまでどおりです。
対象の決め方・単価・配慮(国の資料より)
国の資料は、「収支差率が高く、かつ、事業所が急増しているサービス類型」について、サービスの質を担保しつつ、制度の持続可能性を確保する観点から、新規事業所に限って適用するとしています。グループホーム(介護サービス包括型・日中サービス支援型)では、所定単位数の1000分の972です。重度の障がいや医療的ケアのある方の支援にかかわる加算を受けている方の分や、離島・中山間地域のホーム、自治体が必要として設けるホームなどは、もとの単価のままとする配慮もあります。
なお、これはホームに支払われる報酬の話で、家賃や食費などの実費の決まりではありません。
新しいホームが増えることは、住まいの選択肢が広がることでもあります。一方で、国は支援の質を心配しています。新しいか古いかにかかわらず、暮らしのようすを見学で自分の目で確かめることが、いちばん確かな方法だと私たちは考えています。
ホームを選ぶときに見たいこと(ご本人・ご家族・相談支援専門員の方へ)
今回の見直しの案は、ホームの中身が外から見えやすくなる方向です。次のことは、どのホームの見学や相談でも、遠慮なく聞いてよいことです。いくつかのホームを比べるときの目安にしてください。
- 会議の記録(議事録):いまの決まりでは、ホームが記録をつくって公表することになっています。どこで見られるか。どんな要望や助言が出て、何が変わったか
- 自己評価:ガイドラインのチェックシートで点検しているか(案が決まれば、外部評価の結果も公表される方向です)
- 住居の人数とスタッフ:1つの住居に何人で暮らすか。夜や休日、スタッフはどうしているか
- 地域とのつながり:近所づきあいや、地域の行事への参加。外出や通院のサポート
- 話しやすさ:スタッフに質問しやすいか。ご本人が「いやだ」「こうしたい」と言える雰囲気か
1stぷれいすの入居者さんからは、「優しく対応してくれるから本音が出しやすい」「困りごとも『どんどん言ってください』と言ってくれる」という声をいただいています(入居者の声)。見学では、気になることを何でも聞いてください。
これからの予定
国の進め方の案(2026年4月)では、2026年12月に報酬・基準の基本的な考え方をまとめ、2027年2月ごろに改定案、3月に告示(国が新しい報酬や基準を正式に示す文書)や通知を出し、4月以降に新しい報酬を適用する予定です。地域連携推進会議の回数や外部評価がどうなるかも、その中で決まります。
よくある質問
地域連携推進会議は、いつから義務ですか?
2024年度の報酬改定で新しくできたしくみです。2024年度(令和6年度)は努力義務で、2025年度(令和7年度)から原則として義務になっています。外部の人の評価を受けてその実施状況を公表している場合などは、当てはまりません。
地域連携推進会議は、年に何回開きますか?
いまの決まりでは、おおむね1年に1回以上です。会議とは別に、おおむね1年に1回以上、会議のメンバーがホームを見学する機会もつくります。2027年度の改定に向けた国の案(2026年10月30日)では、会議を「おおむね1年に2回以上」にすることが検討されています。まだ決まっていません。
地域連携推進会議には、誰が参加しますか?
利用者さんとご家族、地域住民の代表、グループホームについて知識のある人、市町村の担当者などです。オンラインで開くこともできます。国の案では、外部評価を行うときに、市町村の職員や基幹相談支援センターの職員、公正・中立な立場の第三者に参加を求めることも検討されています。
グループホームの外部評価とは何ですか? 結果は見られますか?
国の案では、ホームがガイドラインのチェックシートで自分のサービスを点検(自己評価)し、その結果を地域連携推進会議で第三者の目から評価することを「外部評価」としています。自己評価と外部評価の結果は、利用者さん・ご家族への提供や、国の情報公表システム、法人のホームページなどで公表する方向です(まだ決まっていません)。いまも、会議の記録(議事録)は公表することになっています。
出典
- 厚生労働省「第67回 障害福祉報酬改定検討チーム(2026年10月30日)資料」(自立訓練・共同生活援助などに係る報酬・基準について)(資料のページ番号で、共同生活援助の概要 p.84、大規模住居等 p.115〜118、質の確保 p.122〜124・127〜128・131〜132)/第67回の資料のページ
- 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」(2024年2月6日)(p.2・p.26)
- 厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(2026年2月18日)(p.19・p.21)
- 厚生労働省「第55回(2026年4月28日)資料5 令和9年度障害福祉サービス等報酬改定に向けた検討の進め方について(案)」(p.1)
※2026年11月6日時点で公開されている資料をもとにしています。制度の内容は変わることがあります。くわしくは、お住まいの市区町村の障がい福祉の窓口や、相談支援専門員にご確認ください。
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